総裏打ち・仮貼りと補彩・仕上げ

総裏打ち

総裏打ち

染宇陀紙と古糊を用いて総裏打ちをする
総裏紙には宇陀紙を用います。白土が漉き込まれた、柔らかく強い紙です。表具の背面にあたる紙であるため、美しく、かつ強度が十分であることが求められます。奈良県吉野の福西弘行製を使用しています。

本紙が古い絵画の場合は、バランスをとるために、宇陀紙を古色風の色合いに天然染料で染め上げます。

総裏打ちにも古糊を使用します。

 

仮貼りと補彩

乾燥させるための仮貼と補絹部分の補彩
十分に乾燥させるため、仮張に貼り付けます。この乾燥が十分であると、仕立て上がり後も状態よく掛けることができるようになります。

仮貼をしている間には、補絹部分を、周りの色味に合わせて補彩をします。あくまでも、周囲の色味に合わせた色を塗るだけで、絵を描き足すことは決して行ないません。

補彩後、裏面を上にした状態に貼り直します(よりバランスよく乾燥させるため)。最低でも3ヶ月以上、できるだけ長く、乾燥状態にさせておくことをお薦めします。

仕上げ

上軸、下軸、軸首、風帯を取り付けます。
太巻添軸屋郎箱を新調し、その中に出来あがった表具を納入します。

用語解説

補彩

補絹や補紙を行った部分に、全体との調和のために色を加えること。地色に合わせることにとどめ、新たに絵を書き加えることはしない。トーニングとも言う。

太巻添軸

掛軸の軸木に被せる太い添え軸のこと。本紙への負荷を軽減し、折れや歪みを防ぐ目的で軸を巻く径を大きくするために使う。

屋郎箱

表具を収納する桐箱の形式の一種。関西地方での呼び名で、印籠箱などともいう。蓋と箱部分がぴたりと合う構造のため、気密性が高く保存に適している。

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