顕微鏡観察
修理前の状態を記録するため、詳細な撮影を行ないます。全体から、傷みの状況がわかる拡大写真、絵具の粒子の様子が分かる顕微鏡写真など、様々な撮影をします。また、過去の修理の痕跡を調べたり、絵画内部の損傷を調べるために、透過光撮影を行ないます。さらに調査を進める場合には、赤外線、エックス線による撮影を行なうこともあります。
表具や本紙の寸法をとり、表具の状態の記録とします。過去の修理の記録として、修理前の裏打紙の打ち方や紙の取り方も採寸し、記録することもあります。
損傷地図の作成
損傷地図作成
現状を把握することは修理する上で、大変重要なことです。そのため、修理をする前に各部を詳細に目視調査し、亀裂や剥落、オーバーペイントの状況や染み、皺などを、原寸大の地図に表して、記録とします。また、この後の修理方針を立てる上で非常に重要な情報となります。
分光測色計計測
肌裏紙の取替えや、修理中に使用する水によるクリーニング効果などによって、修理前と修理後で本紙の色が違って見えることがあります(たいていは汚れが落ちて、全体に明るい印象になることが多いです。)そのため、修理前後の色変化の状態を記録するため、分光測色計による計測をおこないます。
可視光線(ヒトの目で見える波長の電磁波)より物質の中のやや深くまで入って反射する光で、ヒトの目では見えない(不可視光線)。絵具に赤外線の透過率の高い顔料が用いられている場合には、その下にありながら、肉眼では見えなかった(あるいは見えにくかった)下絵の跡などが検出されることがある。
不可視光線で、放射線の一つ。鉛など重い元素を含む顔料はX線が透過しにくく、軽い元素を含む顔料は透過しやすいという性質を利用して、絵画の使用顔料を推定するのによく使われてきた。
絵画の欠損部を補修した部分に、絵具で補彩を施すが、修理の補彩は補修部分のみに限定される。それが補修部分だけにとどまらず、オリジナルの作品本紙にまで及んでしまうこと。
分光測色計は光度計(照度や放射照度を測定する機器)の一種で、色ごと(光の波長ごと)の強さを測定する。光源の光をモノクロメーターで特定の波長の光にし、この光を絵画作品等の試料に当て、透過した光を測定することができる。